「月紅ノスタルジア」用語解説
ここでは俺たちの住む異界オルディラについて簡単に説明させてもらう。
色々とややこしいかもしれないが、まぁそこは仕方ない。ゆっくりでいいから知って貰えたら嬉しい。
嗚呼、そういや異界ってのは所謂世界の単位と認識してくれたら分かりやすいと思う。
オルディラは天界、下界、魔界の三界によって形成されている異界だ。
それぞれの特徴として天界には天使、下界には主に人間、魔界には悪魔が生活している。
まぁ、大方文字通りって感じだな。
そんなオルディラの秘密をババっ!とお届けするのがあたしたち三人なのだー!
おんなじ天使とか悪魔とかでも、よその異界とは色々違ったりするみたいだから面白いものだよねー!
じゃあ早速いってみよ~~!!
創造神
そもそもオルディラは創造神と呼ばれる存在によって創り出されている。
こいつがどんな奴かというと……まぁ、自由で適当な奴でなぁ……俺の元いた異界もこいつが創ってるんだが、
かなり道楽的だな、と常々思う。あんまり会いたい奴ではないな。
まぁそんな気軽に会えるような存在じゃないんだけどねー。
ラヴィとか魔王とか熾天使あたりの、創造神が直々に創り出した面子とかじゃない限り滅多に会えないからねー。
あたしは片手で数えるくらいだし。
俺もそうだな。……あの独特の雰囲気は確かに変わった人だな、とは思う。
まるで鏡のように話す相手と同じ口調で返してくるから、頭が混乱するんだよな……。
リメアの言った熾天使や魔王などの統治者たちを一から創り出した、大いなる存在であることに違いはないんだが。
魔界
三界の説明は……まずは俺たちの主な活動範囲である魔界でいいな。
魔界は七つの領に分かれていて、それぞれに後述する魔王が存在していてそいつらによって統治されている。
基本的に、魔界の住人の種族は一括りに悪魔と呼ばれる。悪魔についても後で詳しく話す方がいいな。
色々と規格外で自由な奴らが多いから忘れがちだが、人間では数分ともたないうちに正気を失う程の有毒な成分が
大気中に含まれているのも大きな特徴と言えるだろう。
ただ、今はもう人間じゃないがクロードみたいに並外れた力を持った奴は平気だったらしい。
アインやティアなんかは魔界に来るとき、魔法で守られてたって話だったよね。
あ、もちろん魔界の民であるあたしたち悪魔にとっては無害だよ~。むしろ好む人もいるくらい。
あたしもそこそこ好きかな~。
悪魔
次に悪魔の詳細だが……最も特筆すべきはやっぱり寿命の概念が存在せず、基本的には死と無縁ってことだな。
ただまぁ強力な力によって肉体や魂が潰されるとそれが実質死となる訳だが。
人間のように老いたり飢えたりすることはないって認識でいいだろう。
あとこれね~、悪魔と言ってもかなり多種多様だし基準もかなり曖昧なんだよね。
クロードみたいに便宜上は~、みたいなのもいればアインみたいな根本から血を塗り替えてるのもいるし。
死神組も悪魔の枠組みに入るから、って感じだしね!
俺たち死神や元人間勢の耳が尖っていないのもそういうことだな。
正直魔界の気に問題なく馴染めるなら、悪魔と言っても差し支えないような気もする。
天界
次は天界だな。天使たちの住まうここは創造神を絶対主としていて、その介入が最も多い地。
ここも魔界同様、種族は一括りに天使と呼ばれている。
清らかな空気に満ちていて、基本的に天使以外は立ち入ることが出来ない聖域だとタナトスから聞いた。
ただ、天界魔界の両界が定期的に行っている会合の場は境界に位置するから互いに僅かに入れてるかもしれないが。
……いや、あそこ魔界と空気全然違うから入れてるだろうな。
そしてここは魔界と違って領とかの括りはなくて、熾天使って呼ばれる天使たちのリーダー的存在が
中心になって統治してるんだよね~。これは魔王とまとめて後で解説したほうが早いかも。
天使
天使については少しだけ特殊な奴らがいるんだが、それが大天使と呼ばれる熾天使たちの補佐官のような存在だ。
こいつらは見かけによらず、天使たちの中から熾天使連中に選び出された実力者でもある。
領という概念が無いからこその制度だな。
天使も寿命あたりのことは悪魔と同じだけど、明確に違うのは誰もが翼を持っているってこと!
熾天使、大天使たちは普段出してないことが多いみたいだけど、天界の民は常に出してるらしいよ~。
……あたしたちには不要だけど、悪魔も魔法で具現化は出来るのってちょっと面白いよね!
天使の羽とは似ても似つかない上に、それが出来るのも魔王たちくらいだけどな。
天界に関しては大体このくらいだろうか。正直天界の内情は俺たちよりも元々住人だったエルバートやタナトスの方が
当然詳しいんだが……まぁ、エルバートはともかくタナトスにとっては楽しい話でもないだろうし。
下界
最後にお待ちかね!下界のことだけど、ここがすっごく広くてね~。
主に人間たちが住む、って言ったのは場所によっては妖怪や魔法使いも暮らしているから!
と言っても、数は決して多くないし滅多に人前に現れないけどね~。
数少ない知り合いも、気軽に会えるとこに住んでなかったりあんまり誰かとつるむの好きじゃないしな。
俺の経験則だが、変わり者が多い気がする。
とは言え、人間に関しては天界と魔界の人口を合わせても全く届かない程だ。
数多くの国や文化が存在していて、地域によってその性質も大きく異なっている。
魔界では見られない景色も沢山見られて、少し羨ましくも思う。
統治者 魔王・熾天使とその役割
先に何度も話題に出ていたが、魔界を治める魔王たち、天界を治める熾天使たち統治者は当然ながら
この異界のはじまりから知っている最古参組だ。
何なら俺も実質それに該当するんだが……まぁ、長くなるしややこしいから今その話は置いとくとしよう。
この両界が交信や異界全体の監視をし、互いの役割を果たすことでオルディラは成り立っている。
そして下界を含め三界を統治・管理するのが彼らの主な仕事、と言うわけだな。
俺たちもその一端を担っているって感じだ。
つっても、魔界も天界もそこまで統治が大変ってわけでもない。俺たちはある程度の無秩序は好むし、
天使はそもそも真面目な奴が多い。だから仕事の大半は下界絡み、ってことだな。
妖怪や魔法使いは極端だが、人間は膨大な数の上に性質が千差万別だ。
だから異界全体のバランスがおかしくなっちゃわないようにいろいろ調整してあげたり、
神や悪魔への信仰・崇拝が盛んに行われていることを逆に利用していろいろ工作したり……
あ、いろいろは想像に任せるけどね!
……要するに、俺たちは人間の生き死にをも管理していると言っていい。
当然だがこの事実を知る下界の奴は、俺の知り合いの一部を除きいない。
そいつらも、俺たち仕事を任された魔界の住人が下界に赴くことは出来てもその逆は出来ない。
それにしても人間たちって天使も悪魔も実在してるってことも、それに実質支配されてるってことも
知らないのに崇拝してる、なんてちょっと面白いよね~!
これもそういう性質ってものなのかな~?
……俺は正直、あんまり手を下したりとかはしたくないんだけどな……。
まぁ、今は死んでしまった後の人間と向き合うことの方が多いからまだいいんだが。
そういやこの選定なんかは会合でするんだろ?
ああ。これ以上野放しに出来ないと判断されたら執行対象になる。
会議する内容によっては暮葉やリメアたちも会合に参加する時はあるが、基本的に最古参連中が行うもんな。
俺はそもそも下界仕事が多いから、その場で詳細が聞ける立場なのは楽だと感じている。