「ファクター」用語解説
ある研究者の手記
前述 この手記は、この異界「パレべザ」についての事象やその研究の記録である。
無論全てが事実とは限らず、私個人の見解や仮説も含まれている為、もしこれを読んだ第三者が居たのなら、その時何を思うか、何を信じるかは本人に委ねたいと考えている。
パレべザ
この異界の名称。
自然豊かで雄大な大地が広がる現在からは想像もつかないが、遥か昔は荒廃と絶望が異界中に蔓延っていたという。
そもそも有名な話ではないのだが、これの背景には伝承上の存在とされる生き物たちが実存し、その影響だという研究論文も幾つか残されている。
精霊(スピリット)
前述した伝承上の生き物たちの現在の呼称である。
その身は大昔に絶滅していても、彼らの思念のようなものがこの地には未だ現存するのだ。
それらは10の種族であることが判明しており、外見的特徴も身体的特徴も大きく異なっている。
因子(ファクター)
幾代にも渡る研究の末、この異界には一定の周期毎に特異な力をその身に宿した人間が生まれ落ちることが発覚した。
我々はその力を”ファクター”と呼び習わすことにした。
既に感づいている者もいるだろうが、このファクターこそがスピリットたちである。
ここに彼らの特徴や力について記述する(尚、外見に関しては数少ない文献の挿絵をもとに、私の所感を述べている)。
鷲獅子(グリフォン)
獅子の体躯に鷲の頭と翼を携えた獣。
彼らの中で最も智恵に長け、宿主の記憶力を底知れぬものとする。
竜(ドラゴン)
巨大で強靭な身体を持ち、また鋭利な鉤爪が特徴的。
彼らの中で最も丈夫な肉体を持ち、その宿主は並大抵の力でない限り傷を付けることすら敵わない。
妖狐(フォックス)
しなやかで優美な、普通の狐とは全く異なる神々しさを持つ。
彼らの中で最も他を欺く術に長けており、ある程度の未来を予見出来る力も持つ。
水蛇(ヒュドラ)
長く太い九の首を持つ、海の支配者と言っても過言ではない怪物。
体内に猛毒を持ち、毒を好む。宿主に毒物を無効化させる。
番犬(ケルベロス)
三つ首が最も特徴的である巨大な犬。妖狐同様、その見目は一線を画す。
宿主の嗅覚と聴覚を超常的なまでに引き出し、動物との会話も可能にする。
天馬(ペガサス)
美しい純白の毛並と翼を持った、神の遣いと言う表現が当てはまるような存在。
彼らの中で最も感応力が高く、人や物の位置を正確に察知し、把握することが出来る。
人狼(ワーウルフ)
人と狼を織り交ぜたような、毛に覆われた人型の不気味な獣。
非常に視覚に優れ、昼夜問わず遠く先までをも見通すことが出来る。
不死鳥(フェニックス)
生きた炎の化身と呼ぶに相応しい、実体を感じさせない鳥。
彼らの中で最も慈悲深く、他に癒しの力を与えることが出来、また宿主は傷の再生が著しく速い。
吸血鬼(ヴァンパイア)
文献によって形容のし難い生物であったり、黒い異形のようなモノであったりする最も不明瞭な存在。
夜に真価を発揮し、また血を糧に強大な力を得ることが出来る為、彼らの中で最も戦闘力が高いとされている。
その代償か、日中は著しく力が弱まり、非常に病弱であり宿主にもそれは及ぼされる。
妖精(フェアリー)
蝶のようであったり、人間のようであったり、姿を自在に変えられるのではと考察される生命体。
宿主は大気中の流れを感じることが出来、大自然を味方とする為、使いようによっては最も恐ろしい力でもある。